
特定技能制度を利用して日本の介護現場で働いている外国人の方を対象とした、実務者研修のオリエンテーションを開催しました。スクーリングが始まるのはまだ先の話ですが、通信添削のテキスト&問題集を渡し、少しでも早めから取り組んでもらうための顔合わせです。正直に言うと、湘南ケアカレッジとしては初めての外国人専用クラスであり、彼ら彼女たちがどれぐらいの日本語レベルなのか分からない面があり、あらゆることが手探りの状態です。日本語での意思疎通にそれほど問題が生じないのであれば、他の実務者研修のクラス同様に進めることもできますし、問題がありそうであれば、授業内容自体に変更を加える必要があるかもしれません。この日、参加してくれたのはインドネシア、ベトナム、ミャンマー、モンゴル出身の8名の生徒さんでした。
最初にあいさつと他己紹介から始めました。いきなり実務者研修の説明や通信添削課題に取り組むよりも、まずは湘南ケアカレッジに慣れてもらい、実務者研修を受けても大丈夫そうと思ってもらえることが大切です。前後に座った2人でペアを組んでもらい、相手の名前や出身国、どこで働いているか、そして趣味や好きなことなどをヒアリングして、それをのちほど皆の前で発表してもらう形の他己紹介です。
自己紹介ではなく他己紹介というスタイルに最初は戸惑っていたようですが、互いに話しをしているうちに打ち解けてきたようで、その後、たどたどしいながらもしっかりと相手のことを皆の前で紹介してくれました。この時点で、他己紹介の主旨が伝わり、それをスムーズに実行してくれたことに私は驚かされました。日本人のクラスでも、他己紹介の意図が伝わらずに、自己紹介を始めてしまったり、相手のことをアセスメントできない人もいるからです(笑)。どこまで細かい言葉やニュアンスが伝わっているのかまでは分かりませんが、彼ら彼女たちの表情を見る限り、意思疎通は私の想像以上に十分でした。
せっかく教室に来てもらったので、通信添削課題の進め方をお伝えしながら、皆で一緒に取り組んでみることにしました。テキストを参照しながら、問題を解いていくという実際にやってみることで、外国人の人たちがどこに困るのか知っておきたかったですし、どの程度の読み書きができるのかも把握しておくべきだったからです。いきなりテキストがボンと家の届いて、文字だけの説明で、あとはやって提出してくださいでは、外国の人たちにとっては不親切だと思ったからでもあります。今まで外国人の方が申込みをしてきた際はそうせざるを得なかったのですが、今回は外国人専用のクラスということもあり、集まってもらえたからこそできることでもあります。
まずは自分で問題を解いてもらい、分からなければ質問してもらったり、周りの生徒さんに教えたり、教えてもらったりしながら進めるスタイルを取りました。そうしていく中で、ほとんど問題なく自分で進められる生徒さんもいれば、ひとりでは詰まってしまう生徒さんもいることが分かり、それぞれの日本語の読み書き力を把握することもできました。話すことは上手くても読み書きが少し苦手という生徒さんもいれば、話すことよりも問題を解く方がスムーズという生徒さんもいました。思っていたよりもできる生徒さんが多いという嬉しい感触を掴みつつ、それぞれの語学力が千差万別だなという難しさも感じました。やはり一人ひとりを見ていかなければならないという、当たり前の結論に至ります。
残りは自分たちで取り組んで頑張らなければならないのですが、さわりの部分だけ一緒に進めてみたことで、彼ら彼女たちも気が楽になったのではないでしょうか。自分でもできるかもと自信を得てくれたなら幸いです。私自身、今回のオリエンテーションに携わってみて、彼ら彼女たちを無事に修了させることができるかもという手応えと自信を得ました。そして何よりも、彼ら彼女たちと触れ合ったことで、頑張る人たちを応援したいという気持ちが強まりました。何が書いてあるかほとんど分からないであろうテキストと問題集を使って進める中、泣き言ひとつ言わずに自分なりに一生懸命に取り組む姿を見て、心が洗われました。自分ができることばかりやっていては成長がないのです。彼ら彼女たちから私たちが教えられることもまた多いはずです。スクーリング開講が楽しみです。