実務者研修の最終日、医療的ケアの授業の最後に「救命蘇生法」が登場します。呼吸の確認、胸骨圧迫、軌道の確保から人工呼吸の流れを練習します。実務者研修に参加する生徒さんのほとんどは、現場で一度は講習を受けたことがあると言いますが、やり方を忘れてしまっているようです。まるで初めてのように、新鮮な気持ちで取り組んでくれている姿を見ると、やはり定期的に学び直すことは大切だなと感じます。
来年度は、ケアカレでも学び直しの講座を展開していきたいと考えています。小野寺先生にリスキリングが流行っているという話を教えてもらい、ケアカレも取り入れてみようと思いました。たとえば、介護職員初任者研修の食事の授業を、(本来は6時間なのですが)3時間ぐらいに凝縮して、主に卒業生さんに再受講しに来てもらうのです。3時間で3000円ぐらいの受講料をいただけば、先生方にもお礼ができるはずです。たとえば、4月は午前中に「認知症」、午後に「こころとからだ」、5月は午前中に「整容」、午後に「移動」などと、午前午後に分けて、学び直したい科目だけ受けに来てもらうのです。あくまでも来年度の案としていかがでしょうか?
それはさておき、「救命蘇生法」のパートを教えてくれる村井先生が、医療的ケアの授業のしめくくりに、「私たちは瞬間、瞬間を生きているのです」と生徒さんに伝えています。ほとんど毎回どの授業でもそう話しているので、今を生きる的な自己啓発として聞き流してしまっていたこともあったのですが(笑)、最近、村井先生に言葉の真意が分かりました。村井先生が言いたかったのは、心臓が拍動して血液を送り出しているからこそ、私たちの体は動いている。心臓が止まってしまえば、私たちは死ぬ。もしかすると、次の心臓の拍動が止まり、私たちは生きていられないかもしれない。私たちはまさに心臓がドクッドクッと動いて止まるその瞬間、瞬間を生きている、ということが言いたかったのですね。
私も来年で50歳を迎えて、昔と比べて死生観も少しずつ変わってきました。何が起こっても不思議ではない年齢だと思いますし、来年はどうなっているか分からないなと考えたりもします。それでもさすがに、今この瞬間とまでは思いもよりませんでしたが、私たちの心臓の機能を考えると、私たちが瞬間瞬間を生きているというのはまさにそのとおりなのです。救命救急にたずさわっている村井先生の真意が、私だけに伝わっていなかったのか、それとも生徒さんたちも同じなのか分かりませんが、もう何十回も聞いて初めて私は理解できたのです。同じことでも何度も聞くとようやくその真意が分かることもありますね。学び直すことで、新たな発見や学びもあるはずです。