我慢のとき

6月短期と7月短期クラスが無事に終了しました。人数が少ないながらも、それぞれが学ぶ意欲を持って積極的に参加してくださる生徒さんたちでした。おかげでクラスの盛り上がりも十分で、一人ひとりが濃く結びついてくれたのではないかと思っています。ある生徒さんが、「これぐらいの人数で良かった。先生方に密に関わってもらえるから」とおっしゃっていたように、たしかに人数が少ない方が密度は高まるのはたしかです。私たちとしては、クラスの人数が多い方が盛り上がるし、より多くの生徒さんたちとつながりが生まれるので良いと考えていますが、実際の生徒さんが満足してくださったならそれは嬉しいことです。クラスの人数が多くても少なくても、大きな満足を得て卒業してもらえる研修にこれからもしていきたいですね。

 

どれぐらい人数が少なかったかというと、どちらも10名に満たないクラスでした。湘南ケアカレッジの歴史を振り返ってみても、もしかすると最も人数が少ないクラスのひとつかもしれません。昨年から少しずつ感じていたのですが、今年に入ってから、生徒さんたちが激減しています。要因はいくつも考えられるのですが、もっとも大きなそれとしては、昨年から世の中の動きが活発になり(景気が良くなり)、観光や飲食を筆頭とした雇用が爆発的に増え始めているからです。そうなると、介護・福祉の仕事をこれから始めようと思う人は減り、むしろ今まで介護・福祉の仕事をしていた人たちが他の職種に流れてしまうことが起こります。分かりやすくいうと、世の中の景気が良いときは介護・福祉業界は下火になり、景気が悪くなると上向くという相関関係があります。残念なことですが、それは数十年前からずっと変わりません。

 

全体的に見ると、やはり現実的に介護・福祉の仕事は他に仕事がないから仕方なく(もしくは何となく)始める仕事ということです。仕方なく(もしくは何となく)始めた仕事であっても、やっているうちに楽しくなってきたり、自分に合うなと思ったりすることはたくさんあるはずです。私はそうでした。友人に誘われて、大手の介護スクールのベッドの搬送を手伝い、その流れで仕事をするようになり、介護・福祉教育の素晴らしさに気づきました。ただ、介護・福祉の仕事について知らない人たちにとっては、他の仕事を差し置いても積極的にやりたいと思う仕事ではないということです。ひと昔前に比べると、介護・福祉の仕事に対する世の中の見かたは少しずつ変わってきている気はしますが、それでもまだまだなのです。

 

 

私たちにできることは、介護・福祉の仕事の素晴らしさを伝えることです。介護・福祉の現場で働いている人たちにできることは、良い仕事をして、目の前の利用者だけではなく、その周りの家族の方々にも幸せになってもらうことです。そういう小さな積み重ねが、介護・福祉の仕事に対するリスペクトや長い目で見れば賃金の上昇につながっていくはずです。現実的には、また景気が悪化するような事態になり、介護・福祉の世界に人が入ってきてもらうのを待つしかないのですが、そんな我慢の時においても、できることをコツコツとやっていくしかないのです。介護・福祉は決して華やかな世界ではなく、世の中の流れに大きく左右されながら、それでも耐えて粛々と続けてゆく仕事なのだと思います。いつだって我慢の時なのです。

6月短期クラスの皆さまから暖かいメッセージ入りの色紙をいただきました!