変えることと変えないこと、さらには変わることと変わらないことのバランスが難しいと思います。同じことばかり繰り返して成長がないのも良くありませんし、変えたことで上手く行かなくなることもあります。また、私たちは常に同じではいられませんのでどうしても変わってしまうこともありますし、どうしても変えてしまってはいけないこともあるはずです。ややこしい話はこのあたりにして、つい最近、気づかないうちに変わってしまったことで不具合が起こったケースを紹介したいと思います。
介護職員初任者研修のオリエンテーションにて、通信添削課題に取り組む際は、「参照ページ一覧」を参考にしながら問題を解いてくださいと話します。湘南ケアカレッジは優しいので「参照ページ一覧」をお渡ししていることを付け加えつつ(笑)、これがないとどこのページに答えが載っているかを探すだけで時間がかかってしまうので大変ですよとお伝えします。実際に、この「参照ページ一覧」を見ながら解くのと見ないで解くのとでは、1冊終わらせるのに2~3時間ぐらいの違いは出てくるはずです。
ところが、稀に初日のオリエンテーションに参加できない生徒さんがいて、その方にはお昼休みを使ってダイジェストで説明することにします。後日、オリエンテーションには出てもらうのですが、当面をスムーズに過ごしてもらうために手短にオリエンテーションをするということです。私はいつもどおり伝えていたつもりでしたし、何かを変えたつもりもありませんでしたが、ある生徒さんから、研修も終わりに近づいた頃、「最初の頃は参照ページ一覧を知らなかったので、通信添削課題を終わらせるのが大変でしたよ」とサラっと言われました。私はアレっと思い、初日のオリエンテーションを聞いていなかったのかなと思いましたが、良く考えてみると、その生徒さんはダイジェストでオリエンテーションをした方でした。
いつの間にか、私が「参照ページ一覧」について触れるのを省いてしまっていたのです。初日のオリエンテーションでは確実にお伝えしているのですが、ダイジェストのオリエンテーションにおいては、手短にしようとしすぎて無意識のうちにカットしていました。そっか、「参照ページ」の存在について伝えないだけで、生徒さんは通信添削課題を解くのに余計な時間がかかってしまうことを改めて認識しました。その生徒さんは、私を責めるつもりで言ったのではないのですが、ポロっと出たひと言に気づかされたのです。わずかなことでも、変えて(変わって)しまうことにより、相手(他者)には大きな影響をもたらすこともあるということを。
同じ仕事をずっと続けていると、ルーティンになっている動作や声掛けの一つひとつに意味があることを忘れがちになります。そうすると、ついうっかり1つの動作や声掛けを省いてしまったことで、歯車が大きく狂うことになりかねません。私のように、不具合が起こったことで改めて気づかされることもあるはずですが、できればそうなる前に一つひとつの動作や声掛けの意味を再認識しておきたいものですね。