明けましておめでとうございます!
新年早々、いきなり質問です。学習心理に関する問題です。
AとBと正しいと思う方に〇をつけてください。
A、できないから、頑張って勉強して、できるようになりたいと思う
B、できることだから、頑張って勉強して、もっとできるようになりたいと思う
答えはBです。引っかけのような問題でしたが、ほとんどの先生は正解されたと思います。そうなんです。私たちはできると思うからこそ、頑張って取り組めるということです。できないことだからこそ、頑張って勉強して、できるようにするのが学習だと思い勝ちですが、実際のところはそうではないのです。人間はできないと思ったら、そのことについて学びをあきらめてしまうというか、頑張って取り組んでみようという気持ちを失ってしまうものなのです。
私がそのことに気づいたのは、塾で子どもたちを教えていた30代の頃でした。中学生や高校生は中間テスト、期末テストと年間で5~6回の試験があり、その都度、点数という分かりやすい形で結果が出ます。子どもたちは過程よりも結果に影響を受けやすく、どれだけ頑張って勉強したとしても、結果が悪ければ自分はダメだったと思います。それだけならまだしも、点数が悪かった科目については、やってもできないと思ってしまって、次からはあまり一生懸命に取り組まなくなります。その逆も然りで、結果が良かった科目については、やればできると思って、次からも頑張って取り組むようになるのです。そういうことが積み重なって、できる科目はどんどん伸び、できない科目は全くできなくなっていくという仕組みです。
私たちには得意不得意があるので、できることを伸ばしていくことは大切ですし、できないことはあきらめることも必要かもしれません。だた、それ以前の問題として、私たち人間にはできると思ったことは頑張れて、できないと思ったことは頑張れないという深層心理があることは知っておいた方が良いです。たとえば、英語を学び始めたばかりの生徒さんがいたとして、できることから始めて、できたことを「できた!」と認識してもらい、自分は英語が「できるかも」と思ってもらった場合と、いきなり難しいことから始めて、できなかったことを責め、自分は英語ができないかもしれないと思ってしまった場合とでは、同じ能力を持っていたとしても未来が大きく変わってくるはずです。たとえ思い込みであったとしても、できると思わせることがまずは重要なのです。
自分の過去を振り返ってみても、なるほどと思うことはあります。僕は高校に入ってから数学が苦手になったのですが、高校1年生のときの有山先生(今でも名前を覚えています)の授業について行けなくなったことがきっかけでした。サイン、コサイン、タンジェントあたりから分かりづらくなり、友だちに教えてもらったりして何とか乗り切ったのですが、あの頃から自分は数学ができない、理系ではないと思ってしまい、文系の道を進みました。あれから30年近い歳月が流れ、村山家は文系の家系だと信じていたのですが、うちの息子が今、数学が得意で理系の道に進もうとしています。あれっ、もしかすると、僕も数学できたのでは?という疑問がふつふつと湧いてきているところです(笑)。そもそも中学生までは数学は苦手ではなく、どちらかというと得意だったのですから。有山先生の教え方が悪かったとは言いませんが、血統的な問題かと思っていたらそうではなく、私が勝手に高校の頃に数学ができないと思い込んでしまい、それ以降、熱心に取り組もうとしなかっただけなのでしょう。あの頃、自分は数学ができるかもと思えた体験が何かあれば、頑張って取り組めて、できるようになったかもしれません。
何が言いたいかというと、私たち教える立場にいる者たちにとって、最も大切なのは、生徒さんたちに「できる」「できた」と思ってもらうことです。「できる」と思わせるのが教師の仕事だと言っても過言ではありません。生徒さんたちは、できると思えば、その後は自ら頑張って取り組んで、勝手にできるようになってゆくのです。だからこそ、まずは褒めて・認めることから始めるべきです。本当にできているかどうかなんて大した問題ではなく、私たちが褒めて、認めることで、生徒さんたちは自分もできると思い(込んで)、よりできるようになりたいと自ら学び出すのです。知識や技術を教えるのはそれからで十分です。最終的にできる生徒さんを生み出すために、私たちがしなければならないことは褒めて、認めることなのです。