優しい人たち

春からスタートした日曜日クラスが修了しました。全体の印象としては、とても優しいクラスでした。私が足首を骨折したときに、優しく声をかけてくださる生徒さんが平日のクラスよりも多かったですし、障害者の就労支援で豆腐をつくっていることに興味があると話したら、「売れない豆腐ですけど、食べてみてください」と言って持ってきてくれた生徒さんもいました。また、最終日にはクラスメイト全員のメッセージ入りの色紙もいただきました。ケアカレカラーのオレンジをベースにデザインされたこの色紙は、卒業生さんたちを見守る太陽をイメージしているそうです。ありがとうございます。

優しいクラスであったので、何ごともなく終わったのかと思っていましたが、最後のアンケートを見て、そうではなかったと反省する部分もありました。実はこのクラスには中国人の生徒さんが複数名いらっしゃったのですが、彼女たちが授業中に話すのが気になったと書いてくれた生徒さんがいました。おそらく一度や二度ではなく、そういうシーンが目立ったからこそ、アンケートを通して教えてくれたのだと思います。改善点を包み隠さず伝えてくれるのは優しさです。冷たい人は何も言わないのです。ケアカレにもっと良くなってもらいたいから、わざわざ書いてくれたのです。

 

ケアカレとしてできることは、頻繁すぎるおしゃべりに対しては、今はやめてもらいたいと伝えることです。おそらく外国語で話しているので、授業に関係した大事なことを話しているのかそうではないのか内容が分からず、先生方も注意をしにくかったのではないかと想像します。また、先生たちも順番に入れ替わりますので、今回の授業は私語が多いなと感じるぐらいであっても、生徒さんたちは毎週同じようなおしゃべりを聞かされていれば頻繁に思えるはずです。生徒さん同士で注意をするのは難しいので、こういった状況は学校側が察して、「大丈夫ですか?」、「何か分からないところがありますか?」など、どこかの段階で声をかけるべきなのです。

 

さらに「ほんとうにそうなの?」と踏み込んで考えることも大切です。今回のケースについては、80%ぐらいは学校側として注意してもらいたかったというのが答えだと思いますが、もしかすると中国人の生徒さんたちのおしゃべりが気になったのは、あまり交流ができていなかったからではないかと考えることもできます。中国人の生徒さんたちだけで固まってしまい、他の日本人の生徒さんたちと関わる機会が少なかったのではないでしょうか。たとえば、グループワークや実技演習でも国籍を問わず一緒に混じってできていれば、私語はそれほど気にならなくなりますし、気になったらそっと伝えられるぐらいの間柄になっていたかもしれません。そうならなかったのは、最後まで中国人の生徒さんたちを固めてしまった学校側の仕組みの問題とも捉えることはできるのではないでしょうか。

 

 

問題に対して表面的な解決は誰でも思いつきますが、「ほんとうにそうなの?」と自問して深く掘っていくと、本質的な解決策に行き着くこともあります。世の中の問題のほとんどが解決されることなく、より悪くなっていってしまうのは、実は「ほんとうにそうなの?」と考えることなく、表面的に解決した気になって終わってしまうからでもあります。介護の現場でも毎日たくさん問題は起こるはずです。そんなとき、「ほんとうにそうなの?」と自分や相手に問うてみることで、あっと驚く真実に気づき、本質的な問題解決につながるはずです。