先日遅ればせながら、映画『THE FIRST SLAM DUNK』を観に行ってきました。面白いとは聞いていたのですが、私は微妙に『スラムダンク』世代から外れています(漫画を読まなくなった時期と『スラムダンク』の連載が始まった時期がほぼ同じ)。今回映画を観て、初めて『スラムダンク』の世界を知り、CGを使った映像と音楽の完成度の高さに驚かされつつ、その中身の素晴らしさを知りました。何かにつけて、『スラムダンク』の名場面や名セリフを使ってたとえたがる人の気持ちが、ようやく理解できました(笑)。
『スラムダンク』の中で最も有名なセリフのひとつとして、安西先生の「あきらめたらそこで試合終了ですよ」があります。説明不要のセリフですが、言葉だけを取るとありきたりというか、やはり文脈があってこその深い意味があるのだと思います。文脈といえば、全国大会の山王戦(日本一のチームとの戦い)において、終盤、キャプテンの赤木(ゴリと呼ばれている)が試合中にもかかわらず、涙を流すシーンがあります。
弱小チームだった頃から、赤木がずっと「全国制覇」を掲げるも、周りのチームメイトは誰ひとりついて来てくれませんでした。揶揄されながらも1人孤独に練習をしてきた中で、桜木、流川、宮城、三井といった面々が入ってきます。そして、自分と同じかそれ以上の熱量で勝とうとしている背中を見て、嬉しさがこみ上げてきたという長い長い文脈があるのです。彼らはそれぞれに個性が強く、決して仲良しこよしではないのですが、バスケが上手くなりたい、負けたくないという想いは誰よりも一致して、共有しているのです。
湘南ケアカレッジの先生方も同じだなと思いました。湘南ケアカレッジは、「世界観が変わる福祉教育を」という理念でスタートし(今から思えば少し大げさですが)、研修が終わった後、生徒さんたちの介護に対する考え方や見かたが大きく変わるような授業を提供したいと思ってずっとやってきました。そのためには、素晴らしい授業をすることも大切ですが、先生方の目指す介護の方向性が同じであること、生徒さん一人ひとりを向き合うこと、生徒さん同士の横のつながりも大切であることなどを学びました。一人ひとりは凸凹ながらも、同じ目的やビジョンを共有して、生徒さんたちが喜んで満足してくれることが嬉しいとどの先生方も思っているからこそ、ここまでブレることなくやって来られたのだと思います。ありがとうございます。
先日、介護職員初任者研修を修了したSくん(彼女も実務者研修に通ってくれています)は学校が嫌いで、ケアカレも最初の頃は通いたくなくて開始ギリギリに来たりしていましたが、「途中から楽しくなった。皆もそう言っていました」と最後は言ってくれました。最初は挨拶もまともにしてくれなかったのが、次第に目を見てくれるようになり、笑顔も出るようになったのです。短い期間で変わってゆく生徒さんの姿を見て、先生方がどの授業でも一人ひとりにしっかり声掛けをして、向き合ってくれているのだなと嬉しく感じます。彼はこれから訪問介護の仕事をするそうで、たくさんの壁にぶつかると思いますが、あの笑顔があれば乗り越えてくれるはずです。