外国の方と働く

湘南ケアカレッジの介護職員初任者研修は、1クラスにひとりかふたりは日本語以外を母国語にする方が参加していますので、今までにおよそ200名近い方が無事に修了した計算になりますね。中国やフィリピン、ペルー、ネパール、ベトナムなどで生まれ育ち、日本に住んで介護の仕事をしている、もしくはこれから始めるという人たちです。母国語ではない言葉で行われる研修に飛び込んで、15日間、日本人と一緒に学ぼうとするチャレンジ精神は素晴らしいと思います。私だったら、外国語で書かれたテキストを読みながら通信添削課題をこなしたり、外国語で話される授業を聞き続けることができるかと想像すると、けっこうキツイかもと尻込みしてしまいそうです。

彼ら彼女たちは総じてフレンドリーで、介護職向きの寛容なパーソナリティを持っていると思いますし、私たちと違う文化や背景を知っているという特徴もあります。介護は対人援助職ですから、他者の多様性を受け入る必要性があります。自分たち自身が日本においてはマイノリティになりますから、そういった意味では、他者は自分とは違う人間であることからスタートできる。こうあるべきとか、こうでなければならないという押し付けが少ないのではないでしょうか。それは対利用者さんだけではなく、共に働くスタッフに対しても同じです。逆に私たち日本人も、外国の方たちと一緒に働くことで、多様性を受け入れることを学んでいけるはずです。

 

介護の現場でも介護職員初任者研修でも、外国の方がいることは当たり前の時代ですし、そのことはプラスに働くと私は思っています。たとえ日本語がたどたどしくても、むしろ言葉が苦手であるほど、周りの日本人に教えてもらおうと頼ってくれますし、また日本人も何とかサポートしようとします。一人ひとりが自立して、自分で何でもできてしまう人たちの集まりはスムーズかもしれませんが、そこに助け合いは生まれません。できないことがあったり、苦手な分野があるからこそ、それぞれが補い合う相互扶助の関係性の中で、私たちは他者が多様な存在であることを無意識のうちに学んでいくものです。外国の方がいるクラスの方が、結果的にクラス全体がまとまりやすかったりしますね。

 

とはいっても、外国の方が介護の現場で働く上で、ある程度は日本語が使えるようになるべきですし、最低限は知っておいた方が良い言葉あります。なんだかんだ言っても、外国の方にとって言語が働く上で最も高いハードルになることはたしかです。そして、言葉を修得するには時間が掛かるのです。私は2年間、中国語を勉強しましたが、まともに話したり聞いたりできるようにはなりませんでした(笑)。だからこそ、日本語を話せる(話そうとする)外国の方々を素直に尊敬します。

 

 

そんな外国人のために、「介護の日本語教室」が町田市主催で行われていることを最近知りました。対象は、町田市で介護の仕事をしたい人か町田市内の介護施設で働いている人だそうです。オンラインでも学ぶことができますし、会場(町田市民フォーラム)に集まって一緒に学ぶこともできます。しかも受講料は無料。これは素晴らしい取り組みですね。湘南ケアカレッジの介護職員初任者研修や実務者研修に参加していて、町田市に住んでいる外国人がいたら、おすすめしたいと思います。