褒め・認め合う文化

介護職員初任者研修も実務者研修も、研修の最後に実技試験があります。実技試験といっても、決して落とすための試験ではなく、これまで研修の中で学んできたことを発表(披露)してもらうための試験です。もし落とすための試験であれば、かつての介護福祉士の実技試験のように一発試験にして、その場だけの評価をすれば良いわけです。そうではなく、実技試験が技術講習会に移り変わり、最終的には実務者研修になったのは、研修を通して学ぶことでその人に合った形で成長し、介護の技術や知識を高めてもらいたいという意図があると考えています。ということは、私たち教える側は、審判者ではなく、成長をサポートする伴走者のような存在でなければいけません。

そういうテーマや考え方の中で、改善を重ねて、小野寺先生が最終的に提案してくれた、先生からだけではなく、周りの生徒さんたちからもフィードバックをもらう評価の仕組みは、とても湘南ケアカレッジらしいと思います。実技試験はいくつかのベッドに分かれてチームで行われますが、試験を受ける生徒さんとそのパートナーだけではなく、同じチームメイトが見守る中でテストは行われます。恥ずかしいと思う人もいるかもしれませんが、気心しれた仲間ですから、皆応援してくれますのでご安心ください。もちろんテストですから、上手く行くこともそうではないこともあると思います。それでも、良かったところ、できたことに着目して、先生からも評価・コメントさせていただきますし、周りのチームメイトからもコメントをもらうという仕組みです。

 

この仕組みの良いところは、同じチームメイト(クラスメイト)が実技を披露しているのを良かったところ、できていることという視点で見なければいけないことです。間違い探しをするのは誰でもできますが、できていること、素晴らしい点を見つけるのは意外と難しいものです。そうして見えたその人の良い点を言葉で相手に伝えてあげることも大切ですし、そうしてもらった生徒さんは周りの人たちに認めてもらったと感じるでしょう。それは自分が試験を受ける立場になったときも同じです。先生からはもちろんのこと、周りのチームメイト(クラスメイト)からも認めてもらえたことが、これから先現場で介護の仕事をしていくときに励みになると思います。そして、互いに認め合うことの大切さに気づいた人たちが、現場でもそれを実践してもらえると良いなと願っています。

 

 

しかし、このフィードバックの仕組みはあくまでも仕組みです。ただこの仕組みだけを用いれば全てが上手く収まるということでは決してありません。この仕組みがハマるのは、それまでに教えてくださっている先生方が、そうしたポジティブなフィードバックを常にしてくれているからです。それまで散々できていないことを言われ、出来たとしても褒め・認めてもらえなかったのに、突然最後の試験だけポジティブなフィードバックをされても気持ちが悪いです(笑)。何が言いたいかというと、湘南ケアカレッジの介護職員初任者研修も実務者研修も全体として、互いに褒め・認め合おうというテーマが隅々まで生き届いているからこそ、最後のピースがぴったりはまったということです。互いに褒め・認め合うことは、言葉で言うほど簡単ではなく、湘南ケアカレッジの先生方だからできた文化であり、湘南ケアカレッジにしかできないことなのかもしれないとひそかに自慢に思います。