「感謝しかありません」。介護職員初任者研修の実技テストが終わったあと、小野寺先生は生徒さんたちに対してこう言います。その日の朝からほぼ丸1日、これまでに習った実技の復習を兼ねて、みっちりと練習をしたのちの実技テスト合格だけに、先生方にとっても感慨深いものがあるのだと思います。これは表面的な褒め言葉では決してなく、先生方が全力を出し切って授業をしていると、なぜか不思議と、生徒さんたちが最後まで一生懸命に取り組んでくれたことに心から感謝せざるをえない瞬間が訪れるのです。それはまさに「感謝しかない」という気持ちです。
4月短期クラスの生徒さんたちも素晴らしい方ばかりで、私たちの授業を最後まで盛り上げてくださいました。講義をしっかりと聞いてくれ、実技演習も真剣に取り組んでくれました。何よりも、笑うところで笑い、泣くところで泣き、楽しみながら真剣に研修を受けてくださいました。楽しく真剣に学ぶ雰囲気というのは、なかなか表現するのが難しいものですが、いつの間にか周りのクラスメイトにも伝染し、らせんを描くようにクラス全体を高みに連れていってくれます。この雰囲気の手触りは、その場にいた4月短期クラスの皆さまならお分かりになるはずです。このような素晴らしきクラスで授業をさせてもらうことに、私たちには感謝しかありません。
それでは、どのようにして楽しく真剣に学ぶクラスの雰囲気がつくられるのでしょうか。誰かひとりの言動によるものではなく、むしろひとり一人の言動によってつくられると私は思います。先生がひとりで頑張ってみても、生徒さんがひとりで気張ってみても、クラス全体の雰囲気を良くすることも悪くすることもできません。ひとり一人の取り組みが全体を決めるのです。ひとりでは何もできないが、ひとり一人が全てをつくる。別の言い方をすると、自分以外の誰かのおかげでありながら、実は自分も周りの人々に影響を与えている。矛盾しているようでいて、これが本当のところなのだと思います。
だからこそ、湘南ケアカレッジではお互いに感謝の気持ちが生まれるのでしょう。生徒さんたちは先生方に、先生方は生徒さんたちに。また生徒さん同士で感謝し合うこともあれば、先生同士でありがとうと言い合うこともあります。私もたまに生徒さんたちから感謝の言葉をいただくことがありますが、それは先生方のおかげだと感じます。覚えておきたいのは、私たちひとり一人の行動や言葉、心持ちが、自分が思っているよりも全体に影響を与えているということ。自分ひとりでは何もできないけれど、自分にできる最大限の取り組みをしなければ全体は何も変わらないこと。そうして何か上手くいくことがあれば、周りの人々にも感謝することです。