ハローワークからの電話

ハローワークから資料請求の電話が掛かってきました。これまでになかったことで、不思議に思っていると、「村山くん、覚えてる?○○です」と切り出してくださいました。○○さんは私がかつて働いていた大手の介護スクールの講師であり、実習のコーディネーター等もされていた先生でした。15年ぶりに突然、電話が掛かってきて、いきなりその名前を言われただけで、すぐに○○先生だと思い出したのは、私がそれだけお世話になったからです。そのスクールで働き始め、最初に実習先に連れて行ってくれて、「優秀で信頼できる人だから」と言って、当時、全く優秀でもなく信頼感もない私に引き継ぎをしてくれました。○○先生のおかげで実習先とも良好な関係を築くことができ、そして私も○○先生を裏切らないように懸命にコーディネーターの仕事を務めました。

湘南ケアカレッジで一緒に学校をつくっている先生方はもちろんのこと、私はこうした素晴らしい人たちとの出会いがあったからこそ、今こうして仕事をすることができています。あのとき、○○先生に見込んでもらえなかったら、きちんと引き継ぎをしてもらえなかったら、実習先に良い形で紹介してもらえなかったら、もしかすると介護・福祉教育に面白さを感じる前に辞めてしまっていたかもしれません。もちろん、ナニクソと頑張って続けていたかもしれませんが、それは神のみぞ知るところです。いずれにしても、○○先生の無償の優しさ(なんて書くと嘘くさいですが本当です)を受けて、私は介護・福祉教育の仕事の第一歩を踏み出すことができたのです。

 

それでも最初は大変な思いをしました。仕事を覚えるだけで精一杯で、変に周りに気を遣ったりして、帯状疱疹ができて顔面痙攣が残るかもと心配したほどでした。これまで私は3回転職をしたことがありますが、振り返ってみると、何かしらの原因不明の病気になっているのですよね。ほとんどは精神的な疲れによるものだったのでしょう。仕事を変えるということは、自らを取り巻く環境が変わるということであり、そこに適応するためには多大なエネルギーが必要で、特に精神的に大きな負荷が掛かるのです。同じ業種に転職するだけでも(同じような仕事をするとしても)その場に適応しなければならず、まして違う業種に転職するとすれば、一から知識や技術を身に付けていかなければならないのですから余計に大変です。

 

 

それでもそれでも、と言いたいのです。仕事を変える、職場を変えることは、自分自身を変えなければならない、変えられるチャンスでもあります。特に最初の3ヶ月は苦しくもあるのですが、逃げずに仕事に取り組むことで、半強制的に自分をつくり変えてゆこうとすることで、成長することができます。そう考えると、短いスパンで転職を繰り返すことはたしかに褒められたことではありませんが、40年も同じ企業で勤め上げることも同じぐらい褒められたものではありませんね。嫌だから辞めて新しい職場を求めるのではなく、苦しみを伴うと分かっていても、それでも自分をつくり変えたいと思って転職してもらいたいと思います。もうすぐ春を迎え、4月から新しい仕事を始める、新しい職場に移るという卒業生さんや生徒さんたちの活躍を心から応援します。