人は優しい

第4回目の全身性障害者ガイドヘルパー養成研修が終わりました。前回と違って、今回は雨に降られることもなく、最後まで安心して研修を行うことができました。少し肌寒いぐらいの気候であり、車いすを押して外を歩き回るガイドヘルパーの研修には理想的な1日でしたね。今回は個人的な都合で、最後まで立ち会うことができなかったのですが、小野寺先生から、「授業が終わった後も、皆さん質問をしに来られて、とても熱心なクラスでした!」と報告を受けました。何よりも全員が無事に戻ってきてくださったことが嬉しく、最後まで丁寧なサポートをしてくださった橘川先生と阿波加先生にも感謝します。

 

翌日、アンケートをひとり1人読ませていただきました。140字の感想を読むだけでも、研修を受け終えたあとの生徒さんたちの興奮や高揚が伝わってくるようでした。車いすに乗って街に繰り出したときの視点の違いに驚き、普段は何気なく通り過ぎてしまっている街並みや行き交う人々が、ときに冷たく、ときに優しく感じる。車いすを押すガイドヘルパーとしての学びだけではなく、車いすに乗って生活をする障害のある人の体験が新鮮だったはずです。1日という時間を掛けて、ひとりの車いす生活者として社会に出てゆくことで、利用者の気持ちを理解するきっかけを得たのだと思います。

 

今回、初めて車いすで外出しました。道の段差や傾斜、駅のエレベーターの少なさ、ホームの狭さ等の不便を感じました。しかし、デパートに入る時に、扉を押さえてくれる人、踏み切りで止まってしまったときに一緒に車いすを押してくれた人など、人の親切にもたくさん触れることができました。M.Tさん)

 

今回の研修を受けて、車いすに乗る側の気持ちが知れてとても良い経験ができ、ガイドヘルパーじゃなくても、車いすを押すスピードなど普段の仕事でも気をつけないといけないと思いました。それから、外での研修で優しさを感じられた反面、冷たい視線もあることも感じました。(杉田さん)

 

ガイドヘルパーの研修を受けて、車いすに乗ったときの行動の不自由さや行きたいところへ行けないことのもどかしさをすごく感じました。あと車いすに乗っているときの人々の視線が気になることや少し視線が低くなったことで色々なことに怖さを感じることを学びました。しかし、人々の暖かさも感じました。(西山さん)

 

車いすで外出したことで、社会のほとんどは健常者を基準に設計されていて、バリアフリー化はまだまだであることを知り、怖さや冷たい視線を受けたという感想がある一方で、人の親切さや暖かさを感じたという意見もありました。同じ状況を体験しても、悪い面が気になった人もいれば、良い面が記憶に残っている人もいます。もちろん、どちらも同じぐらい感じたという人もいます。どちらの見かたが正しいということではなく、世の中はその人が見たいように見えるのだということです。悪い面が見える人は、それを変えようというエネルギーが生まれれば良い方向に変えることができるはずですし、良い面が見える人は自分も親切に暖かく行動することができるようになるはずです。

 

 

私は実際に車いすに乗って体験してみたときには、街を行く人たちの優しさを感じました。エレベーターに乗れるまで待ってくれたり、開閉式のドアを開けてくれたり(または押さえてくれたり)、道を譲ってくれたり、普段、速足で歩いているときには感じられない時間の流れと見知らぬ人たちとの心の交流があったのです。言葉をやり取りしたわけではないのですが、ほんのわずかな行動が人の優しさを語っていたのです。バリアフリーが完璧に進んだ社会も素晴らしいと思うのですが、人の優しさに包まれた社会はもっと素晴らしいですね。私もそんな社会の一部になりたいと思います。