卒業生さんと話していると、介護の仕事の話になることがあります。「楽しいです!」、「やりがいがあります」と笑顔で語ってくださると、素直に嬉しいですし、学校のやりがいにもつながります。しかし、中には「自分に合っていないかもしれない」、「理想と現実のギャップに悩んでいる」という方もいます。話を聞き進めていくと、たしかに人間関係の難しさや介護のあるべき姿とかけ離れている現場もありますが、ほとんどの場合は、「働き方」の問題ではないかと最近思うようになりました。
ここでいう「働き方」とは、正社員やパート・アルバイト、夜勤のありなし、勤務時間・場所などだけではなく、「そこで働く人には何が求められているのか」、「どのような利用者さんが対象なのか」、「どのようなやりがいがあるのか」、「その仕事を通して何を学べるのか」、といった、そもそもどういう仕事なのか?という本質を指します。
たとえば、年齢的に若く、これから現場でバリバリに働いて、キャリアアップをしていきたい方にとっては、特別養護老人ホームのような施設で分刻みの身体介護をしながら、技術や知識を速いスピードで身に付けてゆく「働き方」が良いかもしれません。逆に利用者の人生に寄り添うような介護をしたいと思う方が、同じような忙しい現場に放り込まれたら戸惑い、理想と現実の違いを感じるはずです。そのような方にとっては、たとえばグループホームや訪問介護のような「働き方」が合っているかもしれません。同じ高齢者に対する介護の仕事でも、たくさんの「働き方」がありますし、また障害者の支援の仕事など、意外と知られていない介護の「働き方」もあります。
ところが、こういった介護の仕事における「働き方」に関する情報があまりにも少ないのが現状です。折り込み広告やフリーペーパー、インターネットの求人広告など、どこを見ても、そこにあるのは給与と勤務地、雇用形態などの情報ばかり。まったく「働き方」が見えてこない。これから介護の仕事を始めようとする人は、そういった情報だけを頼りに選ばなければならないのです。そこには壮大なるミスマッチが生まれて当然です。
たしかに、入って実際に仕事をしてみないと分からないこともありますが、それでもできる限りにおいてミスマッチを少なくしたいと願い、「介護仕事百景」というサービスを立ち上げます。コンセプトは単純です。湘南ケアカレッジの卒業生が笑顔で働いている施設や事業所を中心に取材をし、そこでの「働き方」を紹介する。私たちが集める現場で働く卒業生たちの声は、これから介護の仕事を始めようと思っている、または今の介護の仕事から転職・キャリアアップしようと考えている人たちにとって、価値ある情報になるはずです。
「介護仕事百景」を通して、自分に合った働き方を見つけた皆さまが、「楽しいです!」、「やりがいがあります」と笑顔で語ってくださる日を楽しみにしています。