それでもYESと言う

私のこれまでの人生を振り返ってみると、YESと言って生きてきたと思います。よく言われる何でもハイハイと従うイエスマンとは少しニュアンスが違って、どのような理不尽なことでも、自分に利がなさそうなことでも、面倒くさそうなことでも、とりあえず受け入れてやってみたという意味です。まあ断るのが苦手ということでもあるのですが(笑)、私が覚えている限りにおいて、誰からからお願いをされて断ったことはありませんし、依頼された仕事はたとえ無償でもやってきました。そこには取り立てて深い考えがあったわけでも、別に見返りを期待していたわけでもなく、とりあえずYESと言ってきただけのことです。そんなことを、ふと先日、映画「イエスマン」を観て思い出しました。


映画「イエスマン」の主人公カール・アレンは、仕事でもプライベートでも、いつも答えは「NO」と言って生きてきました。理不尽に思える誘いやおかしな勧誘はもちろん、自分の興味のないこと、自分にとってメリットのない話から面倒くさそうな案件まで、すべてに「NO」という2文字でシャットアウトして自分を守ってきた。ところが、ひょんなことから参加した、とある怪しげな自己啓発セミナーで「YES」ということで人生が変わると言われ、気がつくとYESと言わざるをえない羽目になる。しかし、とりあえず「YES」を連発していくと、次第に物事が思いもよらない形で好転し始めていくことになる、というストーリー。

 

コメディ仕立ての面白い映画ですが、メッセージは示唆に富んでいると思います。なぜYESと言ってみる方が良いのか、と深く考えてみることに意義がありますが、つまり、何もないよりも何かあった方が良いからです。プライベートだけではなく仕事でも。もちろん介護の仕事だけではなく、他の仕事においても同じですね。とりあえず、言われたことはやってみるということです。選り好みしたり、自分の常識だけで判断しないで、依頼されたことには全力で応えてみる。おかしいと思うようなことでも、あえてチャレンジしてみることが大切です。特に若い頃はどうしても幅を狭く考えてしまいがちですが、何でもやってみるという時期を通して得たことは、必ず未来の力になるのです。

 

それからもうひとつ、なぜいつもYESと言うべきなのか?に対する私の答えは、チャンスは1度きりしかないからです。「幸運の女神には前髪しかない」と言われますが、つまり幸運は気がつかないうちにやってきて、そのワンチャンスを掴むことができなければ、知らぬうちに逃げ去ってしまうからです。しかも、その時には幸運のチャンスだと分からないことが多く、もっと言うと、そのときの自分の価値観には合わない、自分の頭では理解できないような形で訪れるのです。だからこそ、頭で考えていては逃してしまう運命のチャンスを掴むために、どんな状況においてもYESという習慣や思考を身に付けておく必要があるということなのですね。