湘南ケアカレッジでは、生徒さんたちが仲良くなることを何よりも大切にしています。毎回、違う席に座っていただいたり、グループワークをしたり、実技演習になると毎回グループのメンバーを変えたりするのは、より多くのクラスメイトと知り合ってもらいたいという意図に加え、クラス全員がお互いのことを理解して、仲良くなって、ひとつにまとまってもらいたいと願っているからです。私の実感からすると、クラスの皆が仲良くなると、研修の8割は成功したようなもの。あとの2割が授業の内容や質、教え方などです。これは授業の内容等よりもクラスの雰囲気が大事ということではなく、クラスの皆が仲良くならなければ、私たちの想いは伝わりにくく、研修全体としては成功しないということです。
なぜ仲良くなることが大切かというと、ひと言で言うと、それぞれが学ぶことを楽しめるようになるからです。仲良くなることで、学ぶ意欲が高まり、お互いに教え合う、サポートし合うという意識が生まれます。他人の目を気にする(場の空気を読む)ことに意識を集中しなくても済む分、学ぶことにより積極的になれるのです。自分の気持ちや考えを素直に表現することもできるようになり、心を開くことができるようになります。楽しいことは楽しく、悲しいことは悲しく、驚きは驚きに、自然な感情でその場にいられるのです。
これは私が子どもの教育にたずさわっていた時の経験からも学んだことです。子どもたちは大人よりも実は周りとの関係性の中で生きていて、その関係性が場の雰囲気を支配します。どれだけ先生や学校との関係が出来ていたとしても、周りのクラスメイトと仲良くなっていなかったり、認められていなかったりすると、授業になった途端に貝のように黙り込んでしまいます。逆に、周りとの関係が良いと、自然と先生や学校とも良い関係を築こうと向こうから歩み寄ってくれます。
横の関係がとても重要だと学んでからは、あえてペアを組ませて宿題をやってもらったり、席替えをしておしゃべりをする時間を与えたりと工夫しました。そうすることで、少しずつ場を温めてゆくのです。次第に笑顔が出始め、今までひと言も発していなかった生徒が意見をボソッと言えるようになり、それに他のクラスメイトたちも耳を傾けるようになります。まあ、子どもたちの場合、あまり仲が良くなりすぎてもうるさくて大変なんですけどね(笑)。でも誰もが心を開かず、感情を表に出さず、静かな一方通行の授業よりはましです。そういう授業からは、何ひとつ生まれません。
生徒さんたちが仲良くなり、土台ができた上で授業をさせていただくと、先生方もスッと教室の雰囲気に溶け込んでいくことができます。生徒さんたちとの一体感というか、授業がやりやすく、生徒さんたちと先生の間に壁がなくなる感覚です。そんな授業ができると、先生方はとても幸せな気持ちになりますし、生徒さんたちの心に残る学びも大きくなります。もちろん、生徒さんたちと先生の関係も重要なのですが、それ以前に生徒さんたちの間の関係が前提、つまり生徒さんたちが仲良くなっていることが極めて大切ということです。そして、そんな仲の良いクラスで学んだ卒業生たちは、介護・福祉の現場に出ても、仲良く働けるのではないでしょうか。
生徒さんたちに願い事を書いてもらいました。昨年はミニサイズでしたが、今年は大きな笹の木を買ってきました。
参考までに、これが昨年のもの。