教卓のない学校(前編)

湘南ケアカレッジには教卓がありません。教卓についてはかつて書いたことがあるのですが、改めてその理由をお伝えしておくと、教卓がない方が授業は良くなるからです。もう少し具体的に説明すると、「生徒さんと先生の距離感が近くなる」、「生徒さんたちに伝えたいことが届きやすい」、「生徒さんたちと同じ目線で想いを届けることができる」という3つの理由です。湘南ケアカレッジが開校した最初に、教卓をどうしようか考えた末に出した結論でしたが、今思えば答えは明らかでした。現代の、そして未来の学校には教卓はいらないのです。


なぜ教卓がない方が授業は良くなるのかを詳しく説明する前に、教卓があった方が良いと考える人々(まだこちらの方が多数派ですが)の意見にも耳を傾けてみたいと思います。私がこれまで会った教卓派の方々の主張は大きく3つあります。

 

1、   テキストや教材を置きやすい

2、   出席簿等の書類を管理しやすい

3、   手や腕の置場に困る

 

1のテキストや教材を置きやすいについては、全くもってその通りです。これに対する反論はありません。たしかに教卓の上にテキストを置くと、それを見ながら授業が進めやすい。特に、テキストを読み合わせするような授業をする先生にとっては、教卓がないと授業がやりにくいことこの上ありません。でもそれはあくまでも先生の都合であって、生徒さんたちにとって良いかどうか以前の問題で、先生にとってやりやすいということです。先生が授業をやりやすいことは大切ですが、もしそれ以上のメリットがあるならば、教卓ではない別の場所にテキストを置くという発想の転換は必要かもしれません。

 

2の出席簿等の書類を管理しやすいについては、教卓の中に入れておくと安全だということのようです。これについては出席簿のような重要な書類は、教卓の中ではなく、講師控室や教室の後ろの方に置いておく方が望ましいです。休み時間になると、教室の前にある教卓付近は誰もいない(見ていない)盲点になりがちです。いずれにしても出席簿等をどうこうしようという生徒さんはいませんので、教卓の安全性をどうこういうほどの問題ではありません。3の手や腕の置場に困るという先生は、たぶん教卓に腕を置いて(または肘をついて)授業をしているのでしょう。偉そうに見えるのでやめた方がいいと思います(笑)。

 

(後編に続く→)