毎年のことですが、年末年始は田舎の岡山県に帰省します。今回はうちと妹の家族(どちらも犬含む)での片道5時間の大移動となりました。年末年始ぐらいはゆっくりとしたいと思うのですが、慌ただしく来て、慌ただしく帰って行くようになってしまうのは、仕方のないことかもしれません。そんな中でも、学校(湘南ケアカレッジ)について、良き理解者であり、応援者でもある父とはよく話します。父に教えられることや気づかされることがあります。話の中で、「(人数の)目標を決めたりしないの?」と聞かれ、「そういうものには興味がない。たぶん先生方も。いい授業がしたいと思っているだけなんだ」と答えました。そう、良い授業がしたい、良い研修にしたいだけなんです。
湘南ケアカレッジを開校する上で、3つのやらないことを決めたという話は以前にしました。「いただきすぎない」、「大きくしない」、「資格を売らない」の3つです。これまでに色々な学校や企業で働いてみて、または見たり聞いたりしてみて、その上で私がこれだけはやらないと心に決めたことです。多分に私の感情的な理由もありますし、もちろん経営的な意味合いも含まれています。そしてこの年末年始に2年間を振り返り、今年から未来を見据えるにあたって、改めて3つのやらないことについて考えてみると、つまりは「人間的であれ」と自らに課しているのだと気づいたのです。
湘南ケアカレッジにとって、生徒さんは自宅に遊びに来てくれる友だちやお客さまのようなものであり、いい研修を提供することはもちろん、できる限りのことをして喜んでいただき、満足して帰ってくれることを望んでいます。だからこそ、たとえば誕生日を皆で祝ったり、クリスマスにはお一人ひとりにささやかなプレゼントをしたりします。特別なことをしているわけではなく、生徒さんたちと人間的に接しようとすれば、自然とそうしたくなるのです。
でも、人間的であれと言葉で言うのは簡単ですが、特に仕事としてとなると、途端に人間的であることが難しくなります。というのは、学校や企業にとっての利益と人間的であることは(直接には)結びつかないことが多いからです。たとえば、かつて私が働いていた大手のスクールで「クリスマスプレゼントを生徒さんたちに贈りたい」と提案したことがありましたが、「コストが掛かることはダメ。しかも何のリターンも見込めない」とあっさり却下されてしまいました。
目先のお金を優先させると、人間的ではない選択をしてしまう。そこで働いているひとり1人のスタッフや社員は人間的なのに、会社や学校全体としてはそうでない。いざ仕事として働くときには、人間的でないことをせざるを得ないという不思議です。人間的であることが評価されずに、会社や学校の利益のためになることばかりを評価する仕組みの中では、いつの間にか人間的であることがバカバカしく、そうでないことが当然になり、慣れてしまうのです。日本の社会にとって大きな問題であり、もちろん介護や福祉の現場でも同じことが起こっているのではないでしょうか。
この問題を解決するためには、まず人間的であれと決め、そのためにやらないことを決め、人間的であることをきちんと評価すると決めることだと思います。いよいよ3年目に入ろうとしている湘南ケアカレッジですが、これからも人間らしい学校運営を心掛けていきたいと思います。