パネトーネ

先週の土曜日、卒業したばかりの生徒さんが教室に来てくださいました。なんと先生1人に1個、全部で12個のケーキを持って!息子さんと一緒に、両手にケーキの袋を持って、4階まで階段を上がってきてくれました。前もって、「お世話になった先生方に御礼がしたいので、贈り物を持っていきたいのですが、かなり大きいのですが大丈夫ですか?」とお電話をいただいていましたが、まさかこんなに大きいとは(笑)。ケーキは「パネトーネ」というブラジルのクリスマスケーキだとのこと。私もさっそくいただきました。パンケーキの中にベリーが入っていて、食べ始めると止まらない感じの美味しさでした。


なぜパネトーネかというと、そう、彼女はブラジル出身の方なのです。こちらでご結婚されて、生活されており、日本語を話す、聞くは全く問題ないのですが、やはり読み、書きには難しさがあったようです。湘南ケアカレッジは、今までたくさんの外国出身の方が卒業していますので、漢字にルビが振ってある修了試験問題を用意しています(内容は全く同じです)。彼女もその修了試験問題を使って見事、一発で合格されました。しかも、私たちの心配をよそに、かなりの高得点で。

 

外国の方、または日本語以外を母国語とする方が、一生懸命に勉強されて、日本人と同じもしくはそれ以上の結果で合格されるのを見るにつけ、私は彼ら彼女たちのことを心から尊敬してしまいます。もし自分が異国の地で、日本語ではない言語で介護についての研修を受け、通信添削課題を提出し、最後には修了試験を受けなければならないとしたら、どれだけ大変なことだろう。授業について行けるだろうか、果たして最後まで頑張れるのだろうか。不安でたまらないと思います。

 

もちろん、彼ら彼女たちも不安です。日本人の方でもそうですが、それ以上に。だからこそ、頑張れるのだと思います。授業の前にテキストを読み返したり、大切なところをきちんとメモに残しておいたりと、そういう真摯な姿勢を彼ら彼女たちは例外なく見せてくれます。橘川先生が、総合生活支援技術演習(実技のテスト)のとき、中国の方のあまりの声掛けの素晴らしさに涙してしまったということがありましたね。介護に最も大切な相手を思いやる心は言葉や国境を超えて伝わるということです。

 

言葉のハンディキャップがあるからこそ、人目をはばかることなく、誰よりも懸命に取り組んでいる。そんな姿に私たちは尊敬の念を抱き、心を打たれるのです。だからなのか、介護職員初任者研修が終わる頃には、彼ら彼女たちの周りにはたくさんの日本人の友だちや仲間が増えていることが多いですね。彼ら彼女たちの生き方に触れて、いつも私は刺激を受け、頑張らなければと思わされます。彼女は御礼にケーキを持ってきてくれましたが、こちらが感謝したいぐらいです。