どうすれば介護職の給与と地位は上がるのか?(中篇)

それでは、どのようにすれば介護・福祉職の給与と地位を上げていけるのでしょうか。他業種と単純に比較して低いということではなく、(特に男性の場合)生活していくだけで精一杯、将来の展望が描きにくい、なりたい職業としての候補に上がらないということであれば、やはり課題解決をしていくべきです。そしてまた、介護・福祉職の給与や地位が上がりすぎて困ることはないのですから、どこまでも貪欲に追い求めても良い問題だとも思います。私の具体的な提案としては、以下の3つが挙げられます。

 

ひとつは介護・福祉職の専門性を高めるということです。そして、介護や福祉の仕事は、高度な技術と幅広く深い知識や知恵に裏付けられた仕事であると知ってもらうことです。介護職自身が高度な技術や知識を備えているだけでなく、この「知ってもらう」ということがとても重要になってきます。私は介護や福祉の仕事は誰にでもできる仕事ではないと知っていますが、おそらく世の中の人々はそう思っていない(または知らない)人の方が多いはずです。

 

これからの高齢社会においては、介護・福祉職にたずさわる人たちの仕事を見てもらえる機会がますます増えていきますので、これをチャンスと考え、私たちが専門職であることをひとり1人が仕事を通して積極的にアピールしていかなければならないのではないでしょうか。人の「生きる」を支える、人生の最後に寄り添う、極めて崇高で価値の高い仕事であることを、ひとりでも多くの人々に知ってもらうことから全ては始まります。こうしたやり方はあくまでも理想ですし、時間の掛かる道程ですが、介護・福祉職の給与や地位が高まるという機運を生む土台であり、きっかけとなるはずです。

 

これから先、コンピューターの発達によって、私たち人間の仕事が奪われていくことになります。機械との競争がどの産業でも盛んになっていきます。機械との競争において、どういった分野の仕事から機械に取って代わられてしまうかというと、ホワイトカラーの仕事、つまり事務職や営業職からです。よほど高度な判断力を要する事務職や営業職でない限り、ほとんどの仕事は機械がもっと正確に、低コストでこなしてくれます。こういった学校を運営していても実感しますが、10年前と比べ、インターネットやパソコンの進化・普及のおかげで、半分かそれ以下の事務スタッフの人数で運営できるようになっているのが現実です。この流れは、ロボット産業の発達に伴って、未来に向けて加速度的に高まっていくと思います。

 

そういった流れの中で、介護・福祉の仕事は機械に奪われにくい、いわゆるサービス業です。もちろん、誰にでもできる(ように設計された)サービス業であれば、機械や外国人労働者に取って代わられてしまう可能性はありますが、介護や福祉の仕事は、そうではない専門職です。人のこころを観て、その時その人で判断をしなければならない究極のサービス業ですし、そうあらなければならないと思います。機械との競争に打ち勝つことができれば、自然と給与も地位も上がっていくと考えることもできますね。そのためにも、まず私たちにできることは、専門性を高めていくこと、そしてそれを知ってもらうことです。

 

(後篇へ続く→)