求人情報を提供しない3つの理由(前篇)

湘南ケアカレッジは、特定の施設や事業所からの求人情報を生徒さんに提供しません。学校に来ていただいたことがある方(もしくは卒業生さん)ならご存知だと思いますが、教室の壁にはお仕事や求人に関するチラシや広告等が一切貼られていません。求人情報が掲載された冊子も渡していませんし、就職のための企業説明会も実施していません。これは湘南ケアカレッジを立ち上げるときに決めたことで、これからも守っていきたいルールのようなものです。なぜ湘南ケアカレッジが求人情報を提供しないかというと、3つの理由があります。

 

ひとつは情報の鮮度がないからです。社会人経験のある方ならお分かりかと思いますが、仕事の採用というのは基本的に縁です。たまたまそのタイミングで、そのような人材を募集していたから採用したということがほとんどです。採用されなかったとしても、それはあなたの能力や人間的魅力が否定されたわけではなく、単に縁がなかったということ。ということはつまり、お仕事が決める(決まる)のはタイミングが重要だということですね。だからこそ、今募集している新鮮な情報を提供できなければ意味がないのです。

 

私の今までの学校運営の経験から言うと、ほとんどの学校は教室の壁に求人票やチラシを貼っていますが、たまにしか貼り替えはされません。下手をすると、1年も2年も前から同じ求人情報が貼ってあるなんてことも少なくないのです。○○○件の求人情報をまとめたといって学校から渡されるであろう冊子の情報も然り。そのような情報は百害あって一利なしですし、もしいつ連絡しても募集をしているのだとしたら、そこは人の入れ替わりが激しい(職員が長く勤められない)施設や事業所である可能性は高いと思います。

 

今となっては笑い話ですが、私が大手の介護資格スクールに勤めていたとき、1000件の求人情報を集めろという命令が下されたことがありました。どんな形の情報でもいい、重複してしまってもいい、とにかく1000件というノルマが課されたのです。スタッフは総出でハローワークに行き、求人情報をプリントアウトしまくって会社に戻り、そこにある情報を求人情報の冊子に打ち込みました。ハローワークの求人数というのはさすがですね。いつ出されたものか、情報の鮮度は分かりませんが、とりあえず1000件の求人情報が集まったのです。おそらく今も渡されているであろう求人冊子の情報は、ある時点での、ハローワークで手に入るものであるとは、口が裂けても言えませんでした。

 

これだけ情報社会となった今、本当に鮮度の高い求人情報は、インターネットの求人サイトや新聞の折り込み広告、駅のラックに置いてある無料の求人誌等に溢れています。学校がわざわざ鮮度のない情報を提供する必要は全くありません。もちろん、介護・福祉の仕事に対する需要がたくさんあるという状況が前提ではありますが、人手不足が一朝一夕に解消されることは(残念ながら)当分ないのです。今ここというタイミングの情報は、あなたが自ら仕事を探そうと思ったとき、あなたの目の前にふと現れるものなのです。