先日の排せつの授業内容に関して、「ポータブルトイレから出ている棒について、トイレットペーパーのホルダーだと認識していましたが、排せつ時のいきみや姿勢保持のために使用することが多いのでしょうか?」という質問を生徒さんからいただきました。ご自身の経験を踏まえた上での素朴な疑問であり、私もトイレットペーパーのホルダーだと思っていましたので、とても良い質問だと思いました。望月先生に尋ねてみたところ、なるほどと思わせられる答えが返ってきました。
私が望月先生に代わってお答えした回答は、「こちらに付いている棒は、おっしゃる通り、ペーパーホルダーであるポータブルトイレも一部ありますが、排せつ時のいきみや姿勢保持のために付いているケースの方が多いとのことです。メーカーや品物によって、どちらの用途のためについているかは異なり、それによって棒の形状も異なります」です。
つまり、見た目はそれほど変わらないのですが、どちらもありますよということ。どちらの用途としても使えるのではなく、どちらかの用途として使うために付けられているということです。
ポータブルトイレは、尿意・便意があり座位も可能だが、我慢できず、歩行に不安があり、どうしてもトイレに行けない場合に使用します。以下のように、ポータブルトイレにもいろいろな種類があって、目的によって使い分けることが可能です。
① 一体型
軽くて移動が簡単、掃除もしやすいが、足を引くスペースがなく、立ち上がりにくく、座りにくい。そういった意味では、安定性に乏しい。
②重い分、安定している。足を引くスペースがあるため、立ち座
りがしやすい。家具のひとつとして居室の雰囲気を崩さないが、
汚れた場合にシミや匂いが残りやすい。
③プラスチック製椅子型
①と②の良いところを合わせたことで、軽くて移動が簡単、掃除
もしやすく、足を引くスペースがあるので立ち座りがしやすい。軽
いため安定性がないことだけがデメリット。
そして、今回、話題になっているのでが、
④ 排便姿勢保持機能つき木製いす型
ポータブルトイレから突出しているアーム部分に両腕を置き、姿勢が保持できる。可動式のアームを握ることによって、直腸肛門角が開きやすい姿勢を保持でき、腹圧がかかりやすいので排便しやすい。
このように、それぞれのポータブルトイレにメリットとデメリットがあります。また、たったひとつの棒(アーム)にもれっきとした役割があり、快適な排せつを行えるようにサポートしてくれています。介護の心構えや技術だけではなく、福祉用具に対する知識が増えるだけでも、介護が必要な方々を支援できる幅が広がりますね。