湘南ケアカレッジの定員は40名です。これまでホームヘルパー2級講座を行っていた学校の定員は12名~30名がほとんどですから、ひと教室の規模としては最も大きい学校になります。その分、教室は広く、講師3名体制を取っているのですが、そんなに生徒が多くて大丈夫なのかと最初は心配されていました。私自身、ずっと20名定員の教室しか体験したことがありませんので、常識に凝り固まっている部分もあり、それを破っていくチャレンジでもありました。でも、実際にやってみて、1年間が経った今、はっきりしたことがあります。それはクラスの人数が多い方が、全体の満足度は高いということです。
湘南ケアカレッジは昨年の4月からオープンし、これまで15クラスの生徒さんたちが卒業していきました。その中で、もちろん定員に達しなかったクラスもありますし、早々に満員になってしまったクラスもあります。クラスによって25名~36名ぐらいの生徒さんの人数の幅があったということです。わずか10名程度の差ではありますが、あらゆるクラスのアンケート結果を調べてみると、その人数とクラス全体の満足度は明らかに比例することが分かったのです。
ちなみに、上のグラフは、人数が多かった1月短期クラスのアンケート結果です。大満足度が94%という、これまで長年にわたって他の大手スクールで教室を運営してきた私から見ても、驚くべき大満足度です。普通であれば、満足度(大変良かったと良かったを合わせたもの)が80~90%ぐらい、大満足度(大変良かった)が60%行くか行かないかです。それが大満足度が94%で、満足度にすると100%ですから、どれだけ高い数字か分かります。先生方が一生懸命に心を込めて授業しているということはもちろんですが、それ以外にも人数が多いということも大きな理由のひとつだと思います。
そこで、なぜクラスの人数が多い方が最終的には満足してもらえるかを、私なりに分析してみました。これまでの経験から思いつくのは、以下の3点です。
人数が多ければ、それだけ…
① さまざまな考えを知ることができる
湘南ケアカレッジは授業内にグループワークを多く取り入れています。あらゆる形で取り組んできた中で、ひとつのグループの人数が5~6名が最適であることが分かってきました。3~4名よりも5~6名の方が、グループ内で様々な意見が出やすく、場も盛り上がりやすい。その中には介護現場の経験者もいたりしますので、自分の知らなかった経験等を聞くこともできます。さらに、グループごとにまとまった意見を発表し合う中で、そのグループが3~4グループよりも、5~6グループの方が様々な考え方や視点を共有しやすいということです。
②前向きな雰囲気になりやすい
研修を運営する(授業をつくり上げていく)上で、クラスの雰囲気というものは非常に重要です。その雰囲気をひとり1人の生徒さんたちが雰囲気を左右することは言うまでもなく、人数が多ければ多いほど、もっと学ぼう、もっと練習しようという前向きな姿勢を見せてくれる生徒さんが増え、それに引っ張られるようにして他の生徒さんも学習意欲を隠さずに見せてくれるようになります。気がつくと、誰もが一生懸命に取り組んでいる雰囲気が出来上がっている。自ら学びたいとお金を払って研修に来てくれている以上、本当は誰もが学びたいという意欲を強く持っているということであり、それがクラス全体の雰囲気となるかどうかということが重要なのです。
③出会いが広がる
研修の副次的な効果として、同じ目的を持って、同じ方向を目指して、福祉・介護の世界に取り組む人々との出会いがあります。生徒さんたちは、年齢や性別だけではなく、これまでに生きてきた経歴や現在の社会的背景も多種多様であり、日常生活の中では決して出会えないであろう人たちであることが多いはずです。そういった人たちが、異なる文化や違った考え方、視点を持ち込み、話し合い、情報を共有することで、今までは知りえなかった世界が開ける。これが通学講習の最大のメリットのひとつです。もちろん、その出会いの幅は、人数が多ければ多いほど広がるのです。