やらないことの3つめは、資格を売らないということです。湘南ケアカレッジは福祉教育の専門校ですので、資格を売るのではなく、介護・福祉教育を提供したいということです。たしかに、その結果として「介護職員初任者研修」修了という資格は手に入りますが、それは私たちの「介護職員初任者研修」を受けていただくことで手に入るもののうち、ほんのひとつに過ぎません。
私たちのように資格を扱う学校は、ともすると資格を右から左へと流してしまうようになりがちです。いわゆる資格ビジネスというやつ。需要のある資格ならばすぐに飛びついて、とりあえず資格さえ売れれば結果よしなので、その過程はどうでも良い(あまり興味がない)となってしまうのが行き着く先です。そうなると、中身に真剣に取り組もうとする先生や生徒さんがいたとすると(いるはずです)、その人たちとの心の間に大きな溝が生まれてしまい、それは学校にとって不幸せなことなのではないでしょうか。
「介護職員初任者研修」という資格を売るのと、福祉教育を提供するのは、表面的には同じことのように見えて、実は全く違うことなのです。生徒さんたちからいただく受講料は、決して資格の対価ではなく、福祉教育サービスを受けてもらったことに対するものだということです。だとすると、私たちは授業またそれにまつわるサービスの質を高めていかなければなりません。資格を売るのであれば、申し込みをしてもらった時点で取引はほぼ終了となりますが、教育を提供するのであれば、申し込み時点はあくまでもスタートであり、生徒さんたちとの関係性は卒業してからも続いていくことになります。
資格を売らないということは、必要のない研修もやらないということです。介護・福祉の世界には、数え切れないほどの資格や研修がありますが、実は本当に必要な資格や研修はそれほど多くはありません。どの資格とは言いませんが、ネーミングが優れているばかりに結構なニーズはあるのですが、どこでも使いようのない資格やあまり中身がないような研修もあります。湘南ケアカレッジは本当に必要な資格であり、学ぶべき内容の研修のみを行なっていきます。今のところは、介護・福祉の世界の入り口としての「介護職員初任者研修」と介護福祉士になるために必要な「介護職員実務者研修」がそれです。
さらに言うと、湘南ケアカレッジは福祉教育を提供することが最終目的ではありません。福祉教育を提供することを通して、人が人を想うことの大切さ、本当の愛とはどういうことか等など、いささか哲学的に聞こえるかもしれませんが、そういうことを伝えたいのだと思います。たとえば排泄の介助における動作のひとつをとっても、介護される人にとって優しい、愛のある介護を教えたいのです。それを介護の世界では、根拠のある介護と言ったりします。湘南ケアカレッジは、生徒さんたちの世界観が変わるような最高の福祉教育を届けられる学校であり続けたいと思います。