世代や性別を超えて、多種多様な経験や感覚を持った人々が集まり、日常生活とは切り離された空間・時間の中でお互いに学び合い、仲間になってゆくことが、「介護職員初任者研修」の最大の魅力のひとつです。今から10年以上前に「介護職員初任者研修(当時のホームヘルパー2級講座)」を受けたときの経験から、私はそう確信しています。こんなにも様々なバックグラウンドを持った仲間が集まる研修や講座って、他にはありませんよね。そして、その仲間たちは、皆、誰もが素敵な人たちなのです。なぜかって、「介護職員初任者研修」に来ている人たちだから。
世の中に数ある研修や講座の中から、介護や福祉に関係するものを選んだということは、他人との関わり合いの中に楽しさを見つけて生きていきたい、人をサポートすることに喜びを感じるというホスピタリティのようなものが、その人の中にあるということだと思います。本人が意識しているかどうか分かりませんが、皆さま、ほぼ例外なくそういう想いを心のどこかに抱えています。そんな素敵な人々が集まるのですから、そのクラスや仲間が特別なものにならないはずがありません。
もちろん、誰もが最初からフレンドリーであったり、打ち解けられるわけではありません。それぞれが色々な事情や葛藤を抱えながら研修に参加してくれていますので、最初のうちは表情が硬かったり、会話もどこかよそよそしかったりするかもしれません。でも、それも最初のうちだけ。身体を使って学ぶ実技の授業に入ってくる頃には、クラス全員の表情にだんだんと笑顔が浮び始めます。普段の生活で被っている仮面を脱ぎ捨て、その人の素の部分が自然な形で出てきます。誰もが笑顔になってゆくのです。
そして、笑顔になった生徒さんたちが、普段の生活に戻ったり、介護・福祉の現場に出たりしたときに、社会に対する影響は少なくありません。親が笑顔でなければ子が不安を感じてしまうように、介護者が笑顔であれば介護される人たちも笑顔になります。それぐらい介護する人たちが笑顔であることは大切なことなのです。
今の私は学校を運営するという立場で仕事をしていますが、先生や生徒さんたちなど、素敵な人々と毎日関わり合えることに幸せを感じます。もしかしたら、生徒さんたちが笑顔になってゆく過程を見るのが好きで、私はこの「介護職員初任者研修」をやっているのかもしれません。そんな笑顔を増やせる学校を、これからもずっと続けていきたいと思います。