小野寺先生にインタビュー

 

―なぜ介護の世界に入ろうと思ったのですか?男性が仕事として介護を選ぶのは、何か大きなきっかけや考え方の転換があったのではと想像するのですが。

 

この世界に入る前は営業の仕事をしていました。あるとき、営業の仕事がこのまま続けられるのだろうかと思い、何か自分にできる一生の仕事はないかと考えました。そこで、高齢者の方とお話をするのが好きだったので、介護の仕事が頭に浮びました。介護の仕事は減る(なくなる)ことはないだろうという思いもありました。さっそくホームヘルパー2級を取得して、介護の世界に飛び込んだのが2000年ぐらいでしたね。

 

―それから13年間、介護の仕事に携わってきたことになりますが、この世界の魅力はなんですか?

 

ひと言でいうと、答えがないということでしょうか。介護は、たとえ看取りまでさせていただいたとしても、もうちょっとこうしてあげたら良かったのではないかと、ずっと思い続ける仕事なんです。これがゴールだ、これが正解だというのがない世界なんです。それでもそれを追い求めていくのが私たちの仕事です。そういった意味では、とても魅力のある仕事だと思います。ゴールに到達してしまってハイおしまいという仕事ではないですから。次から次へ、自分のやりたいことややるべきことが出てくる。本当にこれでいいのかと自分に常に投げかけていかなければなりません。

 

―なぜ講師になろうと思ったのですか?

 

自分の経験を生徒さんに伝えて、面白いことも悲しいことも、実際に現場であったことをぶつけて、それから、じゃあどうしたらいいのだろうと一緒に考えていきたい。それが最初の動機です。現場ではこういうことが必要になりますよ、求められますよ、だからここを知っておきましょう、覚えておきましょうという形で教えていきたいのです。現場に合わせた内容を教え、それが実際に現場で使えて初めて、学校に行って学んで良かったなと思ってもらえるのだと思います。

 

また、生徒さんに教えるためには、自分のスキルをアップしなければなりません。そういう状況に身を置きたいと思えたこともきっかけのひとつです。

 

―どのような考え方を持った人を育てていきたいですか?

 

介護はお手伝いすることではありません。やってあげるお世話の介護から、足りないところを助ける介護にしていきたいと思います。自立支援の考え方をもった質の高い介護士さんを育て、将来は高いお給料をもらえるように導いてあげたいです。

 

質の高い介護が求められる時代が必ずやってきます。これから介護職員初任者研修を修了される方が介護福祉士になる頃には、質の高い介護がきちんと評価されるような、今までとは全く違った制度ができているかもしれませんね。

 

そういった面も含めて、修了生が卒業したあとも、気軽に戻ってこられる学校でありたい。そういう学校でなければ、きちんとした形でフォローはできないと思います。

 

―最後に、介護の世界に飛び込み生徒さんにメッセージをお願いします。

 

「世界一のバッターであるイチローでさえも、自分に投資をしてバッティング技術を上げているのだから、プロフェッショナルである私たち介護者も自分を磨くのは当然だ」と私の勤めていた施設の上司から言われたことを今でも覚えています。私自身そのようにありたいですし、生徒さんたちにもぜひ湘南ケアカレッジに来て自分のスキルやこころを磨いてもらいたいと思います。