修了証明書のこだわり

卒業生の元に修了証明書を郵送しました。賞状版(大判)と携帯用の2種類となります。賞状版は普段は自宅に大切に保管していただき、お仕事をされるときには、資格証明書としてコピーを取って提出することを求められます。携帯用はその名の通り、お財布などに入れて、肌身離さずに持っておくものです。どちらも様式(書いてある文面)はまったく同じですが、用途によって使い分けていたくことになります。

 

この修了証明書にも湘南ケアカレッジなりのこだわりがあります。

賞状の下地はコクヨのA4縦書き、紙厚は170μm(マイクロメートル)。ピンと来なくて当然ですが、厚すぎもせず、薄すぎもせずという厚さのものを選びました。そして、何といっても、「~介護職員初任者研修課程を修了したことを証明する」といった文字の部分を、組版(文字組み)のプロの方に頼んで作ってもらいました。フォントや文字の間隔など、言わなければ誰にも分からないことなのですが(笑)、あくまでも私個人のこだわりとして、できるだけ立派な修了証明書にしたかったのです。

 

なぜここまでこだわるかというと、ひとつは私の6歳になる息子の幼稚園の卒業式のことがあります。卒業式にて卒業証書を園長先生から渡され、家に帰ってきて、それを誇らしげに私に見せたときの息子の輝くような顔が忘れられません。賞状をもらうと、きちんとした形で認められた気持ちがして嬉しいものですよね。賞状はただの紙切れではなく、それ以上の大きな価値があるのです。それは大人にとっても同じこと。そんな大切な気持ちに気づかせてもらったのでした。

 

もうひとつは、湘南ケアカレッジができる前に、別の学校でホームヘルパー2級講座を受講した友人の言葉です。その友人は仕事をしながら毎週土曜日に学校に通い、今日の授業はこんなことやった、どんな先生だった、とても楽しかったなど、毎週のように受講した感想を教えてくれました。他の学校も良い授業をやっているんだと、少し嫉妬しつつ、介護の世界に対して良いイメージを与えてくれたことに感謝していました。

 

ところが、3ヶ月ぐらいかけてようやく修了した日、その友人が言った言葉が忘れられません。「今日、修了証明書をもらったんだけど、ただの白い紙一枚に文字が印刷してあるだけだったよ」、「最後の最後に、この修了証明書はがっかりしたなあ」。その修了証明書を見せてもらうと、たしかに友人の言うとおり、それはとても賞状と呼べるようなものではありませんでした。誰が悪いわけではないのですが、せっかくの先生方の素晴らしい授業が、わずかなコストダウンを図っただけで台無しになってしまったのです。

 

「素晴らしい大工は、誰も見ないタンスの裏に安い木を使わない」という、私の尊敬するスティーブ・ジョブズ氏(アップルの創業者)の言葉があります。たとえ、修了証明書の質の良し悪しなど、誰も気にしない(気づかない)としても、決して妥協することなく、細部にこだわりたいのです。それが湘南ケアカレッジの「介護職員初任者研修」に全力でかかわってくれた先生方や生徒さんたちに対する感謝であり、礼儀であると思うのです。